2024年IPAMIAは、コレクティブな企画として「DPPT : デュレーショナル・パフォーマンス・プロジェクト東京 Durational Performance Project TokyoDurational Performance Project Tokyo (DPPT ディプトゥ)」を設立しました。メンバーとしては、石田高大、北山聖子、山岡さ希子、山﨑千尋が参加しています。2025年以降も続けていきます。
Durational Performance (デュレーショナル・パフォーマンス)とは、通常考えられているよりも⻑い時間、⼤きめの⾝体的負荷をかけて⾏われるパフォーマンスを⽰します。⽇本では、あまり馴染みがありませんが、ヨーロッパやアメリカではしばしば実践されてきた、時間とその⾝体との経験の哲学的側⾯をテーマにしたパフォーマンスアートの表現の⼀つの定番です。
観客はその時空を共有することから、想像力を膨らますことができます。ずっと滞在してもいいし、適当な時間を選んで見にきたり、いろんな方法で関わることができます。または、空間と時間の制約により、それらはビデオや写真の作品として紹介されることも多いです。コンセプチュアルな作品の場合は、そもそも観客を呼ばないこともあります。
プロジェクトでは、それに関わる資料をリサーチしながら、ワークショップ、ディスカッション、レクチャー、パフォーマンス、テキスト、展覧会(公演)を積み重ねています。企画により、国際的なアーティストの参加、メンバー以外のアーティストやライター、他のプロジェクトとの関わりがあります。
2024年には、5回のワークショップ、海外からのアーティストのイベント2回、ゲストアーティストのイベント2回、そして、12月にはメンバー全員によるパフォーマンスを東京駅丸の内口広場で12時間行いました。2025年は、少し東京を離れた活動が増えるかもしれません。2024年の活動は印刷物にまとめる予定です。

《DPPTメンバー(現在4名)》
石田高大 Ishida Takahiro
1995年富山県富山市生まれ。東京大学農学部環境資源科学課程緑地環境学専修卒業。在学中、農村地域の文化や芸能について触れる中で、地域史や芸術史に関心を寄せる。現代美術を知る中で、「行為」による表現を考え始め、自身の行為を展示することを構想。2021年、3日間の個展・パフォーマンス《流水》や、2022年、6日間の個展・パフォーマンス《をのこ》を行う。こうした活動の中で、長時間1つのコンセプトある行為、デュレーショナルパフォーマンスを行うことを好むようになる。1つの行為を長時間繰り返す、その時間や空間の経験が自己を変化させることに注目している。2024年DPPTのイベントでは、《6つのサイコロ》《再開発》《Light Up! 光れ!》を発表。https://www.takahiroishida.com/
北山聖子Kitayama Seiko
2008年よりパフォーマンスアートを始め、国内、アジア、中米の国際パフォーマンスフェスティバルに参加。2010年代は観客をパフォーマンスに引き込むパフォーマンスを展開し、2020年頃より身近な環境の中でのドュレーショナルパフォーマンスを行うようになった。最近の作品として一日中影を追いかける《Chasing a Shadow》や、朝顔が咲いていくのに合わせてカーテンを開く《Waiting for Flowers》、展示期間中に観客から集めた動詞を7時間かけて行う《Verbs》などがある。 DPPTの2024年の企画では《閉て開け(たてあけ)》、《小さな降伏/小さな抵抗》、関連イベントで《太陽に向かって輪ゴムを打つ》を行った。website: https://seikokitayama.com/performance-2/
山岡さ希子Yamaoka Sakiko
IPAMIAの代表。1961年生まれ。武蔵野美術大学造形学部油画学科卒。1992年ごろから、パフォーマンスアートを始める。立ち会ったあらゆる人や生き物、物事との間で生まれる、相互違った体験の総体を作品と考える。パフォーマンスは、都市空間の介入型が多いが、ギャラリーや美術館、一般の空間でも行なってきた。デュレーショナル・パフォーマンスは以前からも時々行っていたが、昨年からこのプロジェクトを始めて、その意義深さに改めて気付かされた。時間によって移り行く感覚は旅のメタファーだと思う。これまでの関連作品としては《東京竜巻プロジェクト》1993年、《横浜で失踪中Missing in Yokohama》2007年、DPPT以降の作品は《往復する拳》《夜と昼Night and Day》2024年 https://Sakikoyamaoka.com
山﨑千尋 Yamazaki Chihiro
1990年、北海道生まれ。2009年に東京芸術大学絵画科油画専攻にて現代美術を学び、同大学大学院ではフィールドワークを基軸とした実地研究を始める。2014年「大館・北秋田芸術祭2014 里に犬、山に熊」や、2016年「福島現代美術ビエンナーレ」など数多く都外の芸術祭に参加し、サイトスペシフィックなスタイルを確立さる。インド・カシミール州でのレジデンスを機に「不可視化された支配」をテーマに、メディアを限定しない多様な表現活動をしている。近年は「身体の支配」をテーマに自身の家族が脳死状態に陥った経験をモチーフとして映像作品と論文を制作。同大学にて博士号を取得。